夏に向かってアトピーがひどくなる

 小学生の子供が、数年前からアトピー性皮膚炎と診断され、特に春から夏にかけて、腕や足に湿疹が出てきます。かきむしって悪化し、夜も寝にくそうにしている姿を見るとかわいそうです。漢方薬を試させたいのですが。
(35歳・女性)
 最近はアトピー様の症状を持つお子さんが本当に増えてきました。また、大人になって急に発症したという例も少なくありません。当薬局に相談に来られる方も年々増えています。
 西洋医学の皮膚科の分野でなかなか効果の得られない慢性疾患の中に、漢方が功を奏すものが多いとされています。アトピー性皮膚炎もその一つといえるでしょう。
 江戸時代の医学書に「小児毎年夏至に至ると疥(かい)の如(ごと)き小瘡(そう)を発し、痒(かゆ)みも強く、夜寝かぬる者世上の多し」とあり、このような慢性皮膚炎の場合には消風散が良いと書かれています。
 消風散は現在もよく使われる処方ですから、400年にわたって使用されてきたことになります。一つの薬がこれだけ長期にわたって使われること自体が、漢方の有効性と安全性の高さを示しているといえるでしょう。まだまだこれだけでなく、漢方最古の処方集が生まれた2000年以上昔から現代に至ってもずっと使用され続けている漢方処方が多数あります。
 さて、アトピー性皮膚炎などで消風散を使用する場合はまず2~3週間、長くて1カ月間ほど試してみてください。かゆみが薄らぐようだとそのまま気長に続けると良いでしょう。
 また、アトピー性皮膚炎では、消風散のほかに、全身麻酔を世界で初めて行なったことで有名な華岡青洲が創製した十味敗毒散(じゅうみはいどくさん)もよく使います。これはじんましんをはじめ、患部に分泌物がなく、乾燥している湿疹(しっしん)に使われます。
 冬場に悪化するタイプには、皮膚の乾燥や血の巡りの悪いのを緩和させる生薬を中心に、当帰飲子(とうきいんし)を用います。
 目先の症状を抑えるには、西洋医学の外用薬が便利ですが、漢方薬と上手に併用すると一時抑えは後々に不要になっていくでしょう。
 アトピー性皮膚炎は、ダニなどの関係が深いといわれていますし、普段の生活の中での予防が大切です。特にこれからの季節は、部屋の環境、ぬいぐるみ、クッションといった身の回りのものに親御さんが気を配ってやりたいですね。
 また、牛乳、乳製品、鶏卵、大豆などアレルギー疾患の原因となる食物を、上手に控えてやることも大切です。