慢性便秘でおなかが張る

 慢性の便秘で困っています。1週間近く便がないこともしばしばです。おなかが張って苦しいのですが、あまり下剤に頼りたくありません。漢方薬を試してみたいのですが…。
  (31歳・女性)
 便秘は男性よりも女性に多く、腹筋が弱いことや、ダイエット、排便を恥ずかしがりトイレに行くタイミングを逸することなどが理由に挙げられます。
 慢性の便秘には、腸自体に障害が起きることによる「器質性便秘」と、ぜん動運動が不十分であることなどによる「機能性便秘」があります。食物繊維の不足、薬の副作用、ホルモンバランスの乱れ、ストレスなどによっても便秘は起こります。
 さて、漢方の世界では、先人がさまざまな角度から便秘について考察し、古典から現代の文献に至るまで、便秘に関する記述が多数なされてきました。主には「気」「血」「水」の乱れによって起こると考え、体質を「実証」と「虚証」に大きく分けて便秘のタイプを考えます。
 例えば、心因性により気が滞れば、腹部が膨満して便秘が起き、「瘀血(おけつ)」が生じると腹部がうっ血して腸管のぜん動運動が弱まり、「水滞」が起こると結果的に気の失調をきたし、便秘に至ると考えます。
 また、体力がみなぎり、体ががっしりとした実証タイプの人は、腹圧があり、腸の内容物の停滞時間が短く、太い便となりますが、熱を帯びると硬さを増し、便秘に至ります。また、体が弱い虚証の人は、エネルギー不足のため、腸の内容物の停滞時間が長く、水分吸収が行われすぎて硬い便となり、便秘になります。
 そのほかにも「病邪」によるもの、「熱秘」「燥秘」によるもの、「臓腑」によるものなど、さまざまな原因から便秘が起こると考え、処方もたくさんあります。
 それでは、便秘に使われる代表的なものを見ていきましょう。

大承気湯(だいじょうきとう)腹部全体に膨満がある肥満体質の人に。口が渇き、熱がある実証タイプに用いる。

大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)慢性便秘のほか、急性便秘にも。体力は中程度以上の人に。虚寒証の人には腹痛を起こすことがあるので使用しないように。

麻子仁丸(ましにんがん)比較的体力が低下した老人や病後の人に。皮膚は乾燥傾向で、便は硬く、断片状の場合に。

潤腸湯(じゅんちょうとう)体力は中程度または低下している人に。顔色やつめの色が悪く、皮膚の乾燥がある場合に。

 このほか、心因性のけいれん性便秘に桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)、乳幼児に用いる小柴胡湯(しょうさいことう)なども用いられます。薬選びには漢方の専門家に相談することをお勧めします。