慢性の便秘から解放されたい

 慢性の便秘に長年、悩んでいます。毎日、野菜ジュースを飲んでいて、飲まないと便秘になります。漢方薬を飲めば、この体質を変えられますか。
(70歳・女性)

 通常は、便秘をすると下剤を飲み、下痢をすると下痢止めを飲むものです。
 しかし、漢方では、同じ薬を便秘にも下痢にも使うことがあります。例えば、虚証で体力のない人の便秘は、腸が弛緩(しかん)性でよく機能していないために便秘していることが多く、体を温める桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)を使うことがありまが、これは、虚証の下痢の改善にも使われることがあるのです。
 つまり、便秘と下痢を正反対のものではなく、〝根っこは同じで症状が別〟と見ているといってもよいでしょう。
 では根っことは何でしょうか。漢方でいう根っこは、その人の体質であり、「実証」か「虚証」かです。西洋医学では、「痙攣(けいれん)性便秘」か「弛緩性の便秘」という分け方をしますが、漢方では、実証の便秘か虚証の便秘という分け方をします。今回は、その観点から説明してみましょう。

【実証の便秘】
 体格の良い体力のある人は、一過性の便秘が多いようです。このタイプの人には、排出作用の強い大黄(だいおう)や、硬くなっているものを軟らかくする芒硝(ぼうしょう)という生薬(しょうやく)を使うことができます。
 大黄の入った漢方薬としては大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)や桃核承気湯(とうかくじょうきとう)などが有名。より頑固な人には大承気湯(だいじょうきとう)、のぼせやすくイライラのある人には三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)などが用いられます
【虚証の便秘】
 やせ型で体力がなく、血液や栄養が不足して腸に潤いのない人、また、体が冷えていて内臓機能が低下している人は、腸の働きが悪いので、腸がよく働くようにする必要があります。漢方薬としては、冒頭に紹介した、桂枝加芍薬湯が挙げられます。整腸作用があり、高齢者の便秘にも効果を発揮します。
 腹部の手術後の便秘には、大建中湯 (だいけんちゅうとう)、潤腸湯(じゅんちょうとう)、麻子仁丸(ましにんがん)などを、子どもの便秘には小建中湯(しょうけんちゅうとう)などが使われます

 一般的に、繊維の多い食べものが便秘に効くといわれ、相談者のように野菜ジュースを常飲している人をよく見受けます。飲んだときには胃直腸反射により排便しますが、虚証の人がこれをやってしまうと、体をますます冷やし、虚の状態を進行させてしまいます。食物繊維をとりたいなら、できるだけ火を通した野菜を食べる方がよいでしょう。