過敏性腸症候群に漢方薬は効く?

 県外で一人暮らしをしている大学生の息子のことです。不安や緊張で下痢を繰り返す過敏性腸症候群です。「また下痢をするかも」という不安で悪循環になっています。漢方薬は効果がありますか。
(50歳・女性)

 レントゲンや内視鏡の検査をしても異常が見つからないのに、便通異常だけがあるのが「過敏性腸症候群」の特徴です。「試験の前になると下痢をする」「重大な仕事の前におなかが痛くなる」など、ストレスや緊張が引き金になるという話をよく聞きます。
 この病気には漢方薬が効果的なことが多いので、ぜひ利用されるとよいでしょう。
 ただし、これは精神的な影響が強い病気。性格的に繊細な人が多いので、漢方薬を飲み始めて順調に良くなっているのに、性急に完璧を求めるあまり、自分自身で不安をあおり、治りにくくなってしまうケースもあります。心と体はつながっているので、気の持ちようも大切かもしれません。
 漢方薬を飲み始めて「調子がいいな」と感じるまでに、それほど時間はかかりませんが、飲まずに済むようになるまでに少し時間はかかるので根気よく腸の働きを整えることを考えた方がよいでしょう。
 日常生活では、できるだけ体を冷やさないように冷たい飲みもの、食べものを控えること。生野菜よりは火を通した野菜の方がお勧めです。また、暴飲暴食は禁物。腸が知覚過敏になっているので腸を刺激する香辛料も摂り過ぎないように。規則正しい食生活で体全体を整えましょう。
 漢方薬には次のようなものがあります。

桂枝加芍薬湯 (けいしかしゃくやくとう) 桂枝湯に芍薬を増量した処方です。おなかが痛む人、下痢と便秘を繰り返すような人にも
小建中湯(しゅうけんちゅうとう) 桂枝加芍薬湯に膠飴(こうい)を加えた薬。体力のない虚証の人の腹痛などに使われます
大建中湯(だいけんちゅうとう) 小建中湯よりさらに虚証の状態の人の腹痛に
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう) 胃腸のトラブルによく使われます。精神不安が原因になっているストレス性胃炎や過敏性腸症候群などにも奏功
半瀉六君子湯(はんしゃりっくんしとう) メーカーが特定されますが、驚くような効果を発揮することがあります

 ところで、病院で病名を付けられた途端に、「病気になってしまった!」と思うものです。相談者の場合は、息子さんの症状や状態を詳しく聞かないと何とも申し上げられませんが、日常生活に支障がないのであれば、「腸が弱い体質」と意識する程度で、あまり気にし過ぎないようにした方がいい場合もあります。