打撲の内出血や腫れにも効きますか

 物につまずいて転倒し、膝(ひざ)下を強く打ちました。腫(は)れて内出血を起こし、痛くてずきずきします。打撲にも効く漢方薬はありますか。
(52歳・男性)
 漢方は内科系の病気に対応するものというイメージが強いので、ねんざ、むちうち症、打撲、骨折などの外傷でも漢方が効果を発揮することを知っている人は、専門家を除いてほとんどいないようです。
 私が三十二、三歳のころだったでしょうか。自転車のハンドルで胸を強打し、翌日から寝返りもできないほどの痛みに襲われました。そのころの私は、「漢方は外傷にも効果がある」と、頭では分かっていたのですが、実際に素晴らしい効果を発揮するとはまったく実感していませんでした。しかし、どうしようもない痛みに耐えかねて、試しに漢方薬を飲んだところ、数日で痛みがひいたのです。
 それでもまだ「時間が経って自然に治ったのだろう」と漢方のおかげとは思わず、薬を飲むのをやめました。するとまた局所が痛み始め、薬を飲むとすぐに痛みは消えたのです。そんな痛い経験をして、漢方薬は外傷にも効くのだと〝痛感〟できたのです。
 漢方では、打撲による内出血や腫れを、血液が滞っている瘀血(おけつ)の状態ととらえ、瘀血をなくす駆(く)瘀血剤をよく用います。主な漢方薬を紹介しましょう。

桃核承気湯(とうかくしょうきとう)体力のある実証の人向けの駆瘀血剤。構成生薬(しょうやく)は、大黄(だいおう)、芒硝(ぼうしょう)、桃仁(とうにん)、桂皮(けいひ)、甘草(かんぞう)の5種類。桃の種子の桃仁(桃核)は、血行をよくする作用があります。下剤の役割を果たす大黄と芒硝が入っているので、便秘傾向の人に適しています。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)生理痛にもよく使われる代表的な駆瘀血剤で、むちうち症などにも用いられます。構成生薬は、桂皮、茯苓(ぶくりょう)、芍薬(しゃくやく)、桃仁、牡丹皮(ぼたんぴ)の5種類。鎮静作用のある桂皮、痛みを和らげる芍薬などを組み合わせています。

治打撲一方(ちだぼくいっぽう)江戸時代の医師・香川修庵先生が考案。構成生薬は、桂皮、丁子(ちょうじ)、大黄、樸ソク(ぼくそく)、川芎(せんきゅう)、川骨(せんこつ)、甘草(かんぞう)の7種類。読んで字のごとしで、打撲に使われる漢方薬です。炎症を抑える作用のある樸?が入っているのが特徴です。

 このほかにも、疎経活血湯(そけいかっけつとう)、通導散(つうどうさん)など、さまざまな漢方薬が使われます。西洋医学の手当てとともに漢方薬を飲むと早く治ることが多いようです。