最近、元気が出ません

 近ごろずっと体がだるく、元気が出ません。年のせいかなとあきらめていましたが、漢方薬で元気になれると人から聞きました。本当でしょうか。
(47歳・女性)
 この質問に一言で答えるならば「イエス」です。
 漢方には得意分野がたくさんあります。なかでも虚弱体質の改善や疲労の回復、人の体を元気にさせることなどは、漢方薬の効果を強く期待できる分野でしょう。
 元気を生み出す有名な漢方薬の一つに、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)があります。これは中国の金の時代に、李東垣(りとうえん)という人が考案した薬です。名前の由来は、胃腸の働きを補い消化機能を高めて元気をつけるのが治病の根本であるとする「補中益気の説」。補中益気の説は、医の王道であるとして、補中益気湯を「医王湯」の別名で呼ぶ場合もあります。
 さて、この補中益気湯も、だれが飲んでもいいというわけではありません。
 江戸時代の津田玄仙という人は、補中益気湯を使用するときの目安として、「虚候八症」を掲げました。虚候八症とは、「手足の倦怠感がある」「言葉に力がない」「眼に勢いがない」「口の中に白沫が出る」「食べ物の味を感じない」「熱いものを好む」「へその辺りで動悸(どうき)がする」「脈が散大で力がない」の八つ症状です。
 中でも、「手足の倦怠感」を津田玄仙は重視し、手足がだるくて力が入らないような状態で元気のない人には、補中益気湯がよいと述べました。
 現代でもこの薬はよく使われ、私の経験でも、たった一服で疲労感、眼精疲労、肩こりが軽減して、熟睡できた人がいました。このような効き方は希ですが…。
 ほかにも元気をつけるための漢方薬はいろいろあります。いくつか紹介してみましょう。

十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)虚弱な人で、気力体力ともに衰えてしまったときに。また、平素は丈夫な人が、無理が重なって衰弱するほど疲れがたまっているときに。貧血傾向で、食欲がなく、皮膚は乾燥していてつやがない人に適する。

小建中湯(しょうけんちゅうとう)平素から虚弱で疲れやすい人に。時々おなかが痛くなったり、手足がだるくてほてったり、動悸(どうき)、鼻血、寝汗などを訴える人に。

六君子湯(りっくんしとう)胃の辺りにポチャポチャと水がたまっているような音がして、食欲がなく、下痢や貧血を起こす人に。

 そのほか、生薬では、高麗人参、牛の胆石である牛黄(ごおう)、マンシュウアカジカの角の鹿茸(ろくじょう)などが、体に元気を与えます。