非結核性抗酸菌症に漢方薬は効く?

 咳(せき)が続き、医師の勧めでCTの画像診断をしたところ、非結核性抗酸菌症と診断されました。その後、抗生剤を飲んでも症状は良くなりません。漢方で症状が改善されますか。
(65歳・女性)

 「非結核性抗酸菌症」は、結核に似た病気なので以前は結核と混同されていましたが、今では結核と区別されるようになり、「非定形抗酸菌症」ともいわれます。
 結核は結核菌が原因で起こります。その結核菌は「抗酸菌」の仲間です。非結核性抗酸菌症は、結核菌以外の抗酸菌で引き起こされる病気。さまざまな種類の抗酸菌が原因となり、日本で多いのはMAC(マイコバクテリウム・アビウムイントラセルラーレ・コンプレックス)菌です。
 結核との違いは、①ヒトからヒトへの感染が起こりにくい②病気の進行が緩やか?の2点。結核同様、肺に病変が起きることが多く、咳、血痰(たん)、喀血(かっけつ)、全身倦怠(けんたい)感などの症状が現れます。症状の進行はゆっくりですが、抗生剤が効かない場合が多いため、じわじわと症状が進行していきます。結核病患者は減っていますが、非結核性抗酸菌症の患者は増えているといわれています。
 一般的に、「結核」に対して漢方は有効であることが多く、「非結核性抗酸菌症」も、結核同様に、漢方が奏功するケースが多数あります。病気の性質上、時間はかかりますが、私の経験では、今まで漢方が効果を示さなかった例にはまだ出合っていません。
 一般的な漢方薬の中から、非結核性抗酸菌症に使われるものをいくつか紹介しましょう。

麦門冬湯(ばくもんどうとう) 強い咳の出るものによく用いる。痙攣(けいれん)性で激しく、痰が切れにくく、顔を赤くして咳き込む傾向が見られるような人に
小柴胡湯(しょうさいことう) 初期で症状があまりない場合。また、倦怠感があり、食欲がないという程度の人に
補中益気湯(ほちゅうえっきとう) 病状が慢性化し、気力がなく、だるくて疲れやすいような人に
柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう) 小柴胡湯の適する人より病状が進み、血色が悪く、動悸や息切れがある人に
加味逍遥散(かみしょうようさん) 補中益気湯を用いる人より、体力があり、発熱があるような人に

 この病気で入退院を繰り返し「夜も眠れないほど命の不安があった」という70代の女性が、漢方で症状が改善され、今では「楽しい毎日を送っています」と笑顔を見せてくれました。こういう声を聞けるとき、漢方に携わってよかったと心から思います。