手術後にお薦めの漢方薬はあるの?

 親せきが胃の手術を受けましたが、麻酔が切れた後に痛みが続き、歩くときもふらふらすると言います。術後にお薦めの漢方薬はありますか。
(50歳・女性)

 手術は、体にメスを入れて傷を付けているのですから、人為的なケガのようなもの。出血もしていますし、外傷と同様、体に相当な負担がかかっているので、体の不調を訴える人が多いのも当たり前のことです。手術そのものは成功したものの、手術前と同じようには元気が出ない、メスを入れた場所が痛む、便秘ぎみ、貧血症状でふらふらするなどさまざまな声が聞かれます。
 漢方では、外傷の後、血液の流れが滞って起こる瘀血(おけつ)ができると考え、瘀血を取り去る作用のある駆(く)瘀血剤を選びます。また、体力が戻らない人には回復力を高めて元気が出る薬を選びます。いくつかの薬を紹介しましょう。

【手術後の痛み】
桃核承気湯(とうかくしょうきとう) 体力のある人向けの駆瘀血剤。鎮痛作用があり、回復力も高めます。桃の種子の桃仁(桃核)は、血行をよくする作用を持つ生薬(しょうやく)。下剤の役割を果たす大黄(だいおう)と芒硝(ぼうしょう)が入っているので、便秘傾向の人に適しています
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) 桃核承気湯と同じく、体力のある人向け。生理痛にもよく使われる代表的な駆瘀血剤で、むちうち症にも効果を発揮します。鎮静作用のある桂皮(けいひ)、痛みを和らげる芍薬(しゃくやく)などを組み合わせています
【腸閉塞の予防】
大建中湯(だいけんちゅうとう) ガスがたまってきておなかが張り、腹痛があるときなどに。腸閉塞の予防になるとして術後によく使われている薬でもあります。便秘がちのときにも
【体力が回復しないとき】
補中益気湯(ほちゅうえっきとう) 虚弱な人、疲れやすい人を元気にする漢方薬の一つ。消化機能を高めて胃腸の働きを補い、元気をつけるのが治病の根本であるとする「補中益気の説」を基に編み出された薬です 
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう) 補中益気湯と同じく、虚弱な人に元気を与える漢方薬。手術後はもちろん、産後、病後に体力を消耗しているときや、気力・体力ともに衰えてしまったときに用いられます。貧血のときにもよいでしょう

 高齢者が手術を受けた場合、元通りに回復するまでに長い時間がかかったり、悪いときには合併症を起こすこともあります。ですから、手術が成功したかどうかだけではなく、術後の回復が実はとても大切なのです。このとき漢方薬は大きな力を発揮します。手術直後から飲むとよいでしょう。知っておくと、いざというときに役に立つはずです。