肝炎に効く漢方薬を知りたい

 健康診断で肝臓の数値が悪く、病院を受診すると慢性肝炎と診断されました。肝炎に効果のある漢方薬があれば教えてください。
(50歳・男性)
 20年以上前のことですが、「肝炎には小柴胡湯(しょうさいことう)が効く」として、小柴胡湯が乱用された時期がありました。このとき、インターフェロンを使用していて小柴胡湯を飲んだ人の中で、間質性肺炎にかかって死亡した人が出たのです。その結果、「漢方薬にも副作用がある」「漢方薬にも危ないものがある」など、多くの人に漢方のマイナスイメージを植え付けました。
 しかし、これは小柴胡湯自体に薬害があるわけではなく、インターフェロンとの併用に問題があったわけです。漢方家の経験から言うと、インターフェロンを使用している状態の人で小柴胡湯が合う人は、まずいません。インターフェロンを使用している人は、虚証(きょしょう)の状態になっていることがほとんどです。一方、小柴胡湯は、実証(じっしょう)の状態に効く薬なのです。虚証の人に実証の薬を用いれば不都合な作用が出ても当たり前。逆に、実証の人に虚証の薬を用いてもあまり弊害は現れません。要は、その人の状態に合った適切な見立てによる薬選びが最も重要ということです。
 肝臓は、体内の解毒や栄養の貯蓄などを行う、とても大切な内臓の一つです。そしてまた、非常に”我慢強い”臓器です。疲れていたり病気になっていたりするのに黙々と仕事をこなそうとして頑張ってしまい、なかなか悲鳴をあげません。ですから、肝臓に異常が起きていても自覚症状はほとんどありません。肝臓が”沈黙の臓器”といわれるゆえんです。はっきりとした症状が現れた時には、手遅れになっていることがあるので、健康診断などで肝臓の数値が悪い場合は注意した方がよいでしょう。
 効果のある漢方薬を教えてほしいという質問ですが、前述の小柴胡湯は、炎症を抑える作用があるとして今でも一般的に肝炎によく用いられる薬です。そのほかにも、茵陳五苓散(いんちんごれいさん)、茵陳蒿湯(いんちんこうとう)、大柴胡湯(だいさいことう)なども用いられます。
 また、漢方の世界で伝わってきた昔からの知恵で、肝炎や肝硬変に対して牛黄(ごおう)を用いる場合もあります。ただし、誰にでも牛黄が適するわけではありませんし、品質の差によって大きな違いが出ます。
 直接、肝臓病に効く薬ではありませんが、分消湯(ぶんしょうとう)は、肝硬変による腹水を取り去ってくれる作用があります。これも知っておくと役に立つことではないでしょうか。