けいれんに効果のある漢方薬は?

 最近、マラソンをしている最中に、足がけいれんすることがよくあります。知人から効果的な漢方薬があると聞きましたが、本当ですか。
(56歳・女性)
 新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
 けいれんに効果的な漢方薬とは、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)のことでしょう。漢方の古典である「傷寒論(しょうかんろん)」に記載されている処方です。
 今回は、この芍薬甘草湯について解説してみましょう。
 含まれている生薬(しょうやく)は、芍薬(しゃくやく)と甘草(かんぞう)の2種類だけ。芍薬には、筋肉のけいれんを鎮めたり、痛みを和らげる効果があります。
 一方の甘草にも、炎症を抑える効果やけいれんを鎮める効果があります。
 この2種類の生薬を配合した芍薬甘草湯には、いろいろな用途があります。いくつか例を挙げてみます。
 ①こむら返りや胃けいれん…マラソンの際、足がけいれんしたときに服用できるとあって、マラソン走者、トライアスロン選手や登山家、スポーツ選手など、筋肉を酷使するような人が、お守り代わりにしていることもあります。即効性があるため、運動中に突然けいれんしたときに飲んでいるのです。アスリートの間で「けいれんを防ぐには芍薬甘草湯が有効」という説が広がって、運動前に予防的に飲む人が増えているという話も耳にします。
 ②しゃっくり…短時間で治れば薬は不要ですが、長時間にわたるとつらいものです。しゃっくりも横隔膜(おうかくまく)のけいれんによるものなので、芍薬甘草湯が効くことがあります。
 ③腹痛(胃腸の痛み)、腰痛、関節痛、生理痛、坐(ざ)骨神経痛、尿路結石の急激な疼(とう)痛…さまざまな痛みを改善する、漢方の痛み止めとして使用されることがよくあります。
 このような使い方もよいのでしょうが、芍薬甘草湯はあくまでも一時しのぎの頓服薬です。そのときにはよくても、根本的な解決にはつながりません。腹痛や生理痛などの症状の原因を取り除くためには、その人の状態に合った漢方薬を選ぶ必要があります。
 こむら返りに関しても、「こむら返りイコール芍薬甘草湯」と考えているなら間違いです。こむら返りが繰り返し起こらないようにする漢方薬もあるのです。
 また、甘草を大量に服用すると、副作用としてアルドステロン症が現れることがあるといわれています。心臓の薬を飲んでいる人や低カリウム血症の人などは、併用できないこともあります。
 いずれにしても、医師・薬剤師や漢方の専門家によく相談してから服用することが大切です。