骨折にも漢方が効くって本当ですか

 自転車で転んで骨折。病院でギプスをはめてもらいましたが痛みが続きます。骨折にも漢方薬が効くと聞いたことがありますが、本当でしょうか。
(55歳・男性)
 骨折で相談にやって来られる方はそれほど多くありません。皆さん、外傷に対して、まさか漢方薬が効くとは思っていないようです。
 ところが、骨折に限らず、打撲、ねんざ、むち打ち症などの外傷にも、漢方が効果を発揮することは珍しくありません。
 例えば、以前こんなことがありました。知人の息子さんが車を運転中、大きなトラックに追突され、むち打ちで半年以上も痛みに悩まされていました。しかし、私が選んだ漢方薬を飲み始めてしばらくすると、痛みが和らいで「ずいぶん体が楽になった」と喜んでいただいたのです。
 もちろん、手術や薬物治療が必要な場合もあるので、必ず整形外科を受診することが大切です。その上で、西洋医学と並行して漢方薬を飲めば、痛みが和らぎ、治りが早くなるケースがよく見られます。「骨がつきにくい」「なかなか腫れが引かない」といった人が、漢方薬を飲んで治りが早まった例は少なくありません。湿布で治ってしまう程度なら漢方の力を借りる必要はありませんが、長い期間に渡って不快症状で悩んでいるときなどは、少しでも早く漢方薬を飲むとよいでしょう。
 漢方では、外傷の状態を、局所に血の滞りが生じていると考えます。それを瘀血(おけつ)といい、駆瘀血(くおけつ)剤を使います。よく使われる駆瘀血剤を紹介しましょう。

桃核承気湯(とうかくしょうきとう) 局所の瘀血を取り除く作用の生薬(しょうやく)である桃仁(とうにん)を中心に、緩和作用のある甘草(かんぞう) のほか、大黄(だいおう)や芒硝(ぼうしょう)などを組み合わせた薬。体力のある実証の人で、下腹部が張り便秘がちの人に向く処方です

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)桃核承気湯と同じく、駆瘀血剤としてよく使われる薬です。血行を良くする桃仁や牡丹皮(ぼたんぴ)、痛みを緩和する芍薬(しゃくやく)、気持ちを静める茯苓(ぶくりょう)などが配合されているのが特徴です

治打撲一方(ちだぼくいっぽう)江戸時代の医師、香川修庵先生が考案した薬です。患部の熱を発散させる桂皮や丁子(ちょうじ)などが配合され、その名の通り、打撲やねんざによく用いられます

 「漢方は外傷には効かない」という思い込みは捨てて、上手に漢方薬を利用してもらいたいものです。