味が分からない

 ここのところ、食べ物の味が分からなくなっています。しょうゆをなめても味を感じません。味覚障害ではないかと思います。こんな症状にも効く漢方薬があるのでしょうか。
  (36歳・女性)
肝胆に熱あれば酸苦、心熱は口苦…
 「味が分かりにくい」「金属のような味がする」「何を食べても苦い」「風味を感じない」など、味覚障害の症状はいろいろです。
 原因にもさまざまなものがあり、最も多いのが、低亜鉛血症です。亜鉛が不足すると、味細胞の新陳代謝が落ち、機能が低下するからです。偏食、食品添加物の取りすぎ、過激なダイエットなどが亜鉛不足を招きます。高血圧やがんなどの薬の副作用でも、亜鉛不足は起こります。
 そのほか、味覚障害は、舌炎や口内乾燥などによるもの、糖尿病・高血圧・甲状腺機能低下・肝不全などの全身症状によるもの、心因性によるもの、神経障害によるものなどがあります。
 西洋医学の治療の現場では、亜鉛剤の服用のほか、原因に応じた対処がなされます。まず最初には、耳鼻咽喉科を訪れるとよいでしょう。
 一方、漢方では、書物「傷寒論」に「少陽の病たる口苦く、目眩めるなり」とあり、また、「陽明の中風は口苦く、咽乾き腹満し喘、発熱、悪寒するも脈は沈にして緊なり」とあり、少陽、陽明病は口内が不快となり、苦味を感じたり、味覚がなくなるとあります。また、陰症は、苦味はありませんが味覚は消失してきます。五行的には、肝胆に熱があれば酸苦、心に熱があれば口苦、肺に熱があれば口辛という考えも、参考になります。
 では、代表的な漢方処方を紹介します。

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)腹痛、口内炎、二日酔い、高血圧、諸出血、不眠などによく用いる漢方薬。体格はがっちりとして、脈は強く、気分がいらいらし、胃がつかえ、口が苦い人に。ただし、顔色の悪い人には使ってはならない。

小柴胡湯(しょうさいことう)感冒などの病気の進行とともに口が苦くなってきた人に。体力が普通の人には小柴胡湯を用いるが、体力があり、がっちりした体の人には大柴胡湯(だいさいことう)を用いる。

温胆湯(うんたんとう)不眠症の主要な薬。寝つきが悪い、眠りが早く覚める、胸苦しい、口が苦い、口が粘る、食味がないという人に。普段、胃腸が弱く、胃アトニー、胃下垂のある人が、大病の後に胃腸機能が衰えたときに繁用する。

六君子湯(りっくんしとう)虚弱で、やせ型で、食欲がなく、酸味があり、脈は弱い人に。

ほかにもさまざまな漢方薬があります。味覚障害は長引くと治りにくくなります。早めの対処をお勧めします。