夏バテで食欲がありません

 この暑さで食欲がなくなり、冷たいものばかり食べたり飲んだりしています。外で歩いていると足が重く感じます。夏バテに効く漢方薬がありますか。
(35歳・女性)
 江戸時代の香月牛山(かつきぎゅうざん)先生の著書「牛山活套(かっとう)」に、次のようなくだりがあります。
 「暑さの病気には2つある。動いていてなるものを〝中熱〟といい、静かにしていてなるものを〝中暑〟という。暑いとき瓜やスイカや冷たい麺類を多食し、涼しい場所で冷気にあたり、内からも外からも冷やして却って患う。(中略)暑さに負けると、小便が黄色くなり、好んで昼寝をして、歩く足取りは重く、顔色が悪く、体はやせて飲食が進まない。これを夏やせという」とあり、清暑益気湯(せいしょえっきとう)や六君子湯(りっくんしとう)などが良いと書いてあります。
 現代の私たちの生活は、江戸時代よりはるかに体を冷やす生活を送っていると言っても過言ではありません。氷を浮かべたドリンクや冷蔵庫でキンキンに冷えたビールをがぶ飲みし、そうめんや冷麺などの冷たい料理を食べ、クーラーがよく効いた部屋の中で過ごすのですから、内からも外からも体を冷やし続けているのです。夏の暑さから逃れようとするこうした行動によって、体の中
に冷えがこもり、胃腸の機能が低下して食欲が落ち、ますます夏バテしやすくなります。
 西洋医学では「夏バテに効く薬を」と言っても特に処方してもらえないかもしれませんが、漢方では、夏の冷えや夏バテに効果を発揮する次のような薬があります。

清暑益気湯(せいしょえっきとう)虚弱体質の人に効く、夏バテ解消の薬として有名。「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」の変方で、その名の通り、暑気を清め、気を益する(元気になる)作用があります。暑さで体がだるくなり、食欲が落ちた人の胃腸を元気にします。軟便や下痢をしているようなときにも用います。毎年夏バテするような人は、早めに飲み始めると予防になるでしょう。場合によっては、夏に限らず年中飲んでもよい薬です。胃を元気にする人参(にんじん)・蒼朮(そうじゅつ)・陳皮(ちんぴ)、潤いを与える麦門冬(ばくもんどう)・血行を良くする黄耆(おうぎ)など9種類の生薬(しょうやく)を組み合わせたものです。

六君子湯(りっくんしとう)胃腸の働きを良くする代表的な漢方薬の一つです。相談者のように、夏バテで食欲が落ちている人にもよいでしょう。

 こうした漢方薬を上手に取り入れながら、日常生活でも、クーラーの温度を低くしすぎず、冷たいものの飲食を控えめにするなど、生活習慣も見直してみてください。