おなかをよくこわします

 食あたりをしやすく、また、風邪をひいたときも下痢に悩まされるほうです。この夏は、冷房病のようになって下痢がしばらく続きました。こんな私に効く漢方薬は?
  (43歳・女性)
 急性腸炎には、さまざまな原因があります。
 ウイルスや細菌、寄生虫などによる腸管感染症、キノコなどの毒物や腐敗した食品を摂取したときの食中毒、下剤などの化学薬品や、アルコールなどの過剰摂取、抗生物質の副作用、寒冷・暑熱、暴飲暴食、小麦などの食物アレルギー、ストレス、腹部手術後などです。
 また、その自覚症状としては、下痢のほかに、吐き気、嘔吐(おうと)、腹痛、発熱などがあります。同時に脱水症状を引き起こすケースも見られ、高齢者や幼児では特に注意が必要です。
 急性腸炎の治療としては、一般的に、安静、保温、食事療法などです。また、西洋医学では、細菌性の赤痢などの伝染病の場合では抗生剤を投与し、毒物の摂取の場合は下剤を用いて体外排泄を促します。
 一方、漢方では、急性腸炎の原因と体質、症状に合わせて薬を選びます。症状が「熱証」の場合は体を冷やす「寒剤」を、また「寒証」には「熱剤」を、「湿証」には「燥剤」を、「燥証」には「滋潤剤」を用います。
 また、ウイルス性腸炎、特に風邪による腸炎には、漢方薬はよく奏功します。それでは、処方の実際を一部見ていきましょう。

大承気湯(だいしょうきとう)食中毒、食物アレルギーに。

葛根湯(かっこんとう)悪寒があり、発熱し、下痢をするものに。

大柴胡湯(だいさいことう)悪心、嘔吐、口の渇きがある人に。また、脈は力がある人に。

五苓散(ごれいさん)乳幼児に用いる場合が多い。口の渇きを訴え、尿が少なく、水やお茶を飲むと吐き、水状の下痢をする場合に。

人参湯(にんじんとう)普段胃腸の弱い人が、おなかを冷やしたり、冷たいものを飲んで下痢をする場合に。

大建中湯(だいけんちゅうとう)腹が冷えて痛み、腹部膨満感がある人に。

四君子湯(しくんしとう)やせて顔色が悪く、食欲がなく、疲れやすい人に。

 ほかにもいろいろな種類の漢方薬がありますが、原因と体質と症状によって選ぶべきものです。自分に合ったからといって、他人に合うわけではありません。漢方薬選びは、経験豊富な漢方の専門家に相談するのが賢明です。最初は苦く感じる漢方薬も、飲み続けていると、苦いながらもおいしいと思えるようになるでしょう。