冬になると体がかゆくなる…

 私にとって、嫌な冬がやって来ました。というのが、冬になると体がかゆくなるのです。年のせいで乾燥するためと思われますが、背中、腹、腕、足と広範囲がかゆく、夜、安眠できません。かゆみに効く漢方薬を教えてください。
  (62歳・女性)
皮膚に潤いを与える漢方薬を
 発疹(ほっしん)などの異常がみられないのに、かゆみがある症状を「皮膚掻痒(そうよう)症」と呼びます。ただし、かきむしることで二次的に湿疹や膿疱(のうほう)などが生じます。
 かゆみが局所的なものを「限局性皮膚掻痒症」、かゆみが体全体に広く及ぶものを「汎発性(はんぱつせい)皮膚掻痒症」といいます。
 限局性皮膚掻痒症には、便秘、下痢などによる肛門周囲のかゆみ、男性の尿道狭窄(さく)や女性のカンジタ症などによる外陰部のかゆみが挙げられます。
 一方、汎発性皮膚掻痒症には、糖尿病、肝炎、肝硬変、黄疸(だん)、慢性腎炎などの一症状であるものや、薬物中毒によるもの、なんらかの理由で皮脂腺の分泌機能が衰えて皮膚が乾燥することで起こるものなど、たくさんの原因があります。
 中でも最も多くみられるのが、老化によって皮脂腺や汗腺の機能が低下し、乾皮症となって、かゆみが激しくなる老人性皮膚掻痒症です。70歳以上の約半数が悩まされているともいわれ、西洋医学では、かゆみ止めの塗り薬や、抗ヒスタミン剤の内服薬などが処方されます。お風呂に入浴剤を入れて、湯上りの肌に潤いを与えることもよく行われます。
 あまり知られていないのですが、漢方薬もまた、服用した人に喜ばれるケースが多いものです。代表的な漢方薬をいくつか紹介しましょう。

当帰飲子(とうきいんし)老人性皮膚掻痒症によく用いられ、特に冬季増悪型によい。そのほかの掻痒症にもよく使われる。

四物湯合黄連解毒湯(しもつとうごうおうれんげどくとう)四物湯と黄連解毒湯を合わせた薬。湿疹を伴う場合に。発赤、熱感などが強ければ黄連解毒湯を増量する。

消風散(しょうふうさん)湿疹がみられ、特に夏に増悪する場合に。

乙字湯(おつじとう)一般に痔(ぢ)に用いる薬であるが、肛囲掻痒症にも処方される。

竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)尿道炎、膀胱炎に用いる薬であるが、外陰部掻痒症にも用いられる。

 そのほか、乾皮症による老人性皮膚掻痒症には、四物湯(しもつとう)六味丸(ろくみがん)八味地黄丸(はちみじおうがん)なども、体質、症状に応じて使い分けます。皮膚に潤いを取り戻す漢方薬を、一度試してみてはいかがでしょうか。