漢方薬で使うショウガについて知りたい

 ショウガが体を温めるという話をよく聞きますが、漢方薬にもショウガが使われていると聞きました。どのような効能があるのですか。
(28歳・女性)
 巷では、ショウガが〝体を温める〟と言われてブームだそうですね。チューブ入りショウガを携帯して食事にショウガを入れる「ジンジャラー」なるショウガ好きもいると聞きました。
 ショウガの歴史をたどると、紀元前300年~500年ごろにはインドなどで利用していた記録があり、人とショウガとの付き合いは大変長いことが分かります。日本には2、3世紀ごろに中国から伝わったとされ、土壌が栽培にも向いていたので食材として根づきました。独特の香り・風味で魚の臭い消しとして使われたり、殺菌作用があることからお寿司のガリとしても使われるなど、昔から薬味として利用されてきたのです。日本の食文化の引き立て役としては欠かせない食材といえるでしょう。
 漢方の世界でも、ショウガは生姜(しょうきょう)と呼ばれ、大変よく使われるポピュラーな生薬(しょうやく)の一つです。しかし、漢方では生薬を単独で使うことはありません。複数の生薬を組み合わせてそれぞれの持つ力を効果的に引き出すので、生姜も単独ではなく組み合わせて使います。例えば桂枝湯(けいしとう)は5種類、葛根湯(かっこんとう)は7種類の生薬を組み合わせたものですが、生姜もその中に使われている生薬の一つです。
 漢方では、生のヒネショウガをそのまま乾燥させたものを生姜と呼び、蒸した後に乾燥させたものを「乾姜(かんきょう)」と呼びます。明治の漢方家・浅田宗伯先生の流れをくむ、昭和の漢方家・木村長久先生の著書にも、その違いが次のように紹介されています。「生姜は、胃を軽く刺激し、その機能を促し、嘔吐(おうと)を止める作用があります。一方、乾姜は体を温める力が強く、血管を拡張して血行を良くする作用があります。また、消化器の水分の停滞を除き去ります」。つまり、性質が異なる生姜と乾姜を、性質に応じて使い分けているのです。
 ちなみに、漢方で使われる生薬の中で、生姜や乾姜が特に体を温める力が強いかというとそうでもありません。当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)、人参(にんじん)、附子(ぶし)などの方が生姜より体を温める力が強いのです。
 今のブームにひとこと苦言を呈するとすれば、「ショウガが体に良いから」という思い込みで大量に摂取し過ぎると逆に胃腸の調子を損ないかねないということ。過ぎたるは及ばざるがごとし。どんな食品も適度な摂取が大切だと思います。