夏は低血圧症がひどくなる

 母、私ともども低血圧症なのですが、夏になるとますますその程度がひどくなり、朝が起きられず、疲れがとれません。食欲もあまりわかないので、食べる量が減り、一層元気がなくなるという悪循環です。漢方でどうにかならないでしょうか。
(38歳・女性)
 冬は血管が収縮して血圧が上がり、動脈硬化の人は脳卒中、心筋梗塞などを起こしやすい季節です。反対に、夏は血管が緩むので、血圧が下がり、低血圧の人は不快な症状がひどくなる季節でもあります。
 低血圧症とは、普通、収縮期の血圧が100㎎Hg以下を指し、色白のやせ型で虚弱体質の女性に多く、運動量が少ない頭脳労働者の男性にもよく見られます。西洋医学では積極的に治療の対象とされませんが、疲労感、脱力感、手足の冷え、動悸(どうき)、目覚めの悪さ、立ちくらみ、意欲の低下などの症状で悩む人は多いものです。
 体質だからとあきらめず、早寝早起き、規則正しくバランスの良い食事、適度な運動などの生活習慣を心掛けることで、少しずつでも改善できます。
 漢方では、意欲の低下、起床時の脱力感などを、五臓六腑のいずれかの働きが低下することによる「気」の不足と考え、臓器の調子を整え、気を補うことで体調の回復を図ろうとします。また、頭痛、目まい、冷えなどは、「水毒」といって体内の水分の偏在による症状と考え、水分を整えようとします。
 実際に低血圧症によく使われる漢方薬を紹介しましょう。
 中国の金元時代、四大家の一人といわれる李東垣先生によって作られた「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」は、今も良く使われます。高麗人参(こうらいにんじん)、白朮(びゃくじゅつ)、黄耆(おうぎ)、当帰(とうき)、陳皮(ちんぴ)、大棗(たいそう)、柴胡(さいこ)、甘草(かんぞう)、生姜(しょうきょう)、升麻(しょうま)の10種類の生薬から作られる漢方薬です。
 例えば朝鮮人参は強壮・健胃に、白朮は利尿に、黄耆は利尿・止汗に│というようにそれぞれが消化機能を高め、元気を付けるものです。
 このほか、「真武湯(しんぶとう)」もよく使われます。これは、胃腸が弱く、新陳代謝が低下し、目まいを感じるような場合です。
 また「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」は、血行が悪く、冷え性で、目まいや頭重感、月経不順を伴う場合などに用いられます。
 低血圧は全身症状であり、漢方の得意とするところです。処方では、低血圧に伴うさまざまな症状を分析し、その症状に合った漢方薬を選ぶことになります。
専門家に相談し、正しく選べば、1カ月以内に体調の改善を感じられるでしょう。