漢方薬で糖尿病は改善できますか

 糖尿病と診断され、薬を飲み始めました。たくさん食べるのに体重は減っています。漢方薬も試してみたいのですが、糖尿病を改善することはできるのでしょうか。
(58歳・女性)

 糖尿病といえば、西洋医学では、食事療法、運動療法のほかに、血糖降下薬やインスリンが用いられます。一方、漢方薬は体調不良を改善し、全身状態を整えて病気を治りやすくします。血糖値のコントロールは西洋医学に任せて、体調を整えて体質を改善するのは漢方薬で…と、併用するのも一案です。
 江戸時代には糖尿病という名前の病気はありませんでした。病気は時代や文化によって作り出されるものである、という話を読んだことがありますが、まさに糖尿病も時代が生み出した現代病と言えるでしょう。
 昔は「口渇甚だしく排尿回数多きもの」を「消渇(しょうかつ)」と呼びました。この「消渇」が、糖尿病のある時期の症状に匹敵するとして参考にされています。
 漢方は、症状を見ながら薬を考えていきます。自覚症状がなく、検査結果で初めて糖尿病と診断されるような初期の場合、症状がつかみにくいことがあります。ある程度病気が進行し、例えば、のどが渇いて水をがぶ飲みし、尿の回数が増える、たくさん食べるのにやせていくなどの症状が現れると、それらに合わせて薬を選んでいきます。また、漢方では食欲のない糖尿病の人に適する薬もあります。主な漢方薬を紹介しましょう。

八味丸(はちみがん) 中国の古典「金匱要略」(きんきようりゃく)には「飲むこと一斗なるを以って小便一斗なるは、腎気丸(じんきがん)之を主(つかさど)る」と書かれています。ここでいう腎気丸は八味丸のこと。体の弱った「腎虚」の状態で下肢の痛みやしびれのある人にも使います。また、八味丸に牛膝(ごしつ)、車前子(しゃぜんし)を加えた牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)も使われます
大柴胡湯(だいさいことう) 比較的初期の糖尿病に。体力があり、腹部が膨満して胸が苦しい人に。便秘傾向の人によく用います
白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう) 比較的初期の糖尿病の人で、体力もあり、血色も良いが、口渇と多尿を訴えるような人に
四君子湯(しくんしとう) 糖尿病が進行し、衰弱が著しく食欲もない人。貧血があり、下肢に浮腫が見られる人に

 日本の漢方薬ではありませんが、生薬と血糖降下剤を混ぜて、漢方薬のような名前を付けたものが販売されているケースも見られます。漢方薬と勘違いしてたくさん飲むと、血糖値が下がり過ぎる危険性も否めません。専門家によく相談しながら漢方薬を飲むことをお薦めします。