湿度が高くなると体がだるい

 梅雨に入って湿度が高くなってくると、体がだるくなったり、食欲がなくなったり、肩が凝ったりするなど、体調が優れなくなります。こんなときに良い漢方もあるのでしょうか?
(61歳・女性)
 6月に入り、本格的な夏が近付いてきました。湿度の高い日が多く、蒸し暑い日本の夏はとても過ごしにくいものです。今から体調を整えて暑さに備えましょう。
 漢方では、夏の暑さに負けて潜在的な病気が悪化することを「中暑」(暑さにあたる)といい、スポーツなどで体を動かしていて暑さに負ける熱中症を「中暍」(ちゅうえつ)といいます。また、中暑がひどくなって夏やせすることを注夏(ちゅうか)と呼びます。
 江戸時代の学者、貝原益軒先生は著書「養生訓」の中で、「季節の中で、夏は最も養生しなければならない。それは、暑気にあてられて起こる吐瀉(としゃ)病(吐き下し)、夏バテ、急性胃腸カタル、発熱性の下痢などの病気が起こりやすいからである」と説き、一年の中で特に夏は薬を飲んで養生しなければならないと、注意を促しているほどです。漢方は、体力の回復に務め、体を補うことを得意とします。夏の疲れに使用する代表的な漢方薬を紹介しましょう。

清暑益気湯(せいしょえっきとう)夏バテに最もよく使用する漢方薬。体がだるい、手足がほてる、動作が鈍くなる、何をするにもおっくうになるなど、夏バテの一般的な症状に。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)夏に限らず一年中よく使う薬。日ごろから体力に自信のない人によく用いる。①手足の倦怠感②言語が軽微③目に力がない④口の中に白沫が出る⑤食物の味がない⑥熱いものを好む⑦脈が散大で力がない⑧へそのあたりで動悸(どうき)がする。この八つの症状のうち、一つか二つでもあてはまる人に。

六君子湯(りっくんしとう)胃腸の弱い人に。虚弱体質の人やお年寄りなど、胃腸が弱くて疲れやすく、食欲がなくて下痢をしたり、貧血のある人などに向いている。

 江戸時代、ビワの葉を煎じた飲み物を町中で売り歩く「ビワ葉湯売り」の姿がよく見られたそうです。このビワ葉湯は、暑気払いに良い夏の飲み物として重宝されたといいます。「夏に注意が必要」と分かっていた昔の日本人の知恵といえるでしょう。
 これから暑さが厳しくなってきます。健康な人でも体調を崩しやすい季節なので、体の弱い人は要注意。上記の漢方薬は、夏の疲れだけでなく虚弱体質改善にも効果がみられる薬です。「転ばぬ先の杖」として上手に利用してみてはいかがでしょうか。