夜間頻尿をなんとかしたい

 最近、夜中に目が覚めて2、3回トイレに行くのが習慣になっています。そのため睡眠不足です。漢方薬で改善できますか。
(55歳・男性)
 夜間頻尿で悩んでいる人は多いようです。就寝後、トイレに行く回数が1回ならまだしも、2回、3回となれば睡眠不足になり、疲れも取れません。
 加齢によって腎臓の働きが低下して尿を濃縮する働きが弱ると尿量が増えます。そうすると排尿の回数が増え、夜間にもトイレに行くことになります。また、尿をためておく膀胱(ぼうこう)の力が弱ると、排尿した後にも膀胱に尿が残るので膀胱の容量が減少することになります。
 中高年の男性の夜間頻尿の場合は、前立腺肥大が原因となっている場合があります。前立腺が大きくなり、近くにある尿道を圧迫して排尿障害を起こします。
 さて、漢方の考えの中に「五行説」というのがあり、人間の内臓とその働きを五臓六腑(ごぞうろっぷ)に分けて考えます。五臓とは「肝」「心」「脾(ひ)」「肺」「腎」のこと。その中の「腎」は、副腎の機能や生殖機能を含むほか、〝水臓(すいぞう)〟ともいわれることがあるように、体内の水分代謝を取り仕切っているとしています。
 また、六腑の一つの「膀胱」は、今の膀胱と同じように尿をためて排尿する働きだけでなく、泌尿器全体の働きを意味します。
 腎と膀胱はどちらも五行の水(すい)に属し、密接な関係があります。ですから、腎の働きが弱ると排尿にも影響が出るのです。腎の弱った状態を「腎虚(じんきょ)」と呼び、漢方薬も腎を補う薬が使われます。さまざまな薬がありますが、ここでは手軽に用いられる薬を紹介しましょう。
八味丸(はちみがん) 夜間頻尿や排尿障害によく使われる代表的な漢方薬。八味地黄丸とも呼ばれ、地黄(じおう)、山茱萸(さんしゅゆ)、山薬(さんやく)、沢瀉(たくしゃ)、茯苓(ぶくりょう)、牡丹皮(ぼたんぴ)、桂枝(けいし)、附子(ぶし)の8種類の生薬を使っています。主となる生薬の地黄は、 貧血を改善する作用や滋養強壮作用があり、沢瀉と茯苓には利尿作用があります
六味丸(ろくみがん) 八味丸から附子と桂枝を減らして6種類の生薬を組み合わせた処方。八味丸を使うほど冷えが強くない状態の人に 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん) 八味丸に牛膝(ごしつ)と車前子(しゃぜんし)を加えた処方。八味丸を使いたいような人で、腰痛、尿量減少、残尿
感などがある人にも使われます
 一つの処方に生薬を減らしたり増やしたりすることを加減方といいますが、こうしてみると、八味丸の加減方がいろいろあることが分かります。頻尿は漢方の得意分野。一度試してみてはいかがでしょうか。