年齢を重ねるにつれ、腰痛が持病に…

 専業主婦です。若いころにスポーツを何もしなかったせいか体力がなく、数年前から腰痛を患っています。お灸(きゅう)を据えたりしていますが、良くなりません。このままひどくなるのではと心配です。
(47歳・女性)
 人間が二本足で歩くようになった時から腰痛は宿命の病気となりました。それも昔はお年寄りの病気のように思われましたが、現代人は運動不足がちのためか、若くから腰痛を患う人が多くいらっしゃいます。
 寿元堂薬局でも、タクシー運転手の方が長時間同じ姿勢をとり続けるため慢性の腰痛に悩んでいるとか、20歳代、30歳代の方がぎっくり腰となったと言って相談に来るケースも少なくありません。
 一口に腰痛といっても、その原因と症状はさまざまです。漢方では、古くから体質や症状によって処方を使い分け、かなりの効果を上げてきました。いわば、腰痛は漢方の得意分野の一つなのです。
 江戸時代の名医・浅井貞庵は、腰痛の症状を、だる痛い・重痛い・引きつけるように痛い・抜けるように痛い・屈伸できない・歩けない・キャキャと痛む・グニャグニャとなって痛い・シクシク痛むなどの痛み方によって分け、さらに痛む部位を細かく区分し、漢方の原因論に基づいて多くの処方を使い分けていました。
 さて現在、腰痛に使われる漢方処方を簡単に紹介すると、まず八味丸(はちみがん)があります。糖尿病や腎臓病、高血圧症などからくる腰痛や老人性の腰痛によく使われますが、腰が痛むだけでなく、なんとなく足に力が入らないとか、足がしびれるという症状にも効きます。
 当帰四逆湯(とうきしぎゃくとう)は冷えが強く、腹痛を伴う腰痛に使うことがあります。
 婦人の腰痛には当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)がよく使われます。また、腰から足にかけて水の中に入っているように冷たく感じてトイレが近いという人なら、苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)が良いでしょう。
 ほかにもいろいろな漢方処方が使われますが、専門家に詳しく相談して、あなたの体質とその症状に合った処方を見つけてください。浅井貞庵のように漢方処方を使い分けることが大切です。
 また、高齢者の女性で足腰がしびれ、少し歩くと腰がジンジン熱くなるという方がいらっしゃいます。こういった症状を漢方では「麻木(まぼく)」といい、原因を「気血の虚や不巡りより発する」という言葉で表現します。何らかの原因で血行が悪くなったり神経の異常を起こした症状を表したものです。冷えが関係していることもあり、八味丸、六味丸(ろくみがん)、牛車賢気丸(ごしゃじんきがん)、桂枝加苓朮附湯(けいしかじゅつぶとう)などから体に合うものを1~2カ月続け、様子を見てください。