女性特有の「血の道症」とは

 先週号のこの欄では、漢方薬を選ぶ上での指標となる「気・血・水(き・けつ・すい)」について簡単に紹介しましたが、今週は「血の道症」という女性特有の病気について触れたいと思います。
 「血の道症」とは、江戸時代から用いられてきた漢方医学独自の病名で、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性ホルモンの変動に伴って現れる憂うつや情緒不安定などの精神神経症状および月経異常など身体症状を示します。
 具体的には、イライラ、のぼせ、頭痛、動悸(どうき)などが挙げられます。月経前に起こるこれらの症状は、西洋医学では「PMS」(月経前症候群)と呼ばれています。
 また、こうした症状の多くは「更年期障害」と似ています。
 平均51歳で訪れるといわれる閉経期の女性が、女性ホルモン(エストロゲン)の減少に伴ってホルモンバランスを失い、不都合な症状が起こるのが更年期障害なのに対し、血の道症の場合は、更年期という年齢的なものに限らずホルモンの失調や血液の循環が悪いものを含んでいます。
 原因としては、血の滞りである瘀血(おけつ)による場合が多いと考えられ、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や逍遙散(しょうようさん)などの漢方薬を利用することが多くあります。
 月経、妊娠・出産、閉経など、女性とホルモンバランスの変化は切っても切り離せません。
 血の道症のさまざまな症状で悩んでいる方は、奏効することが多い漢方薬を試してはいかがでしょう。