漢方にファーストチョイスはない

 今までに漢方薬を自分で選んで購入した経験を持つ人も多いのではないでしょうか。今週は漢方薬を選ぶ時の話です。
 よく「風邪には葛根湯(かっこんとう)」といわれますが、これは、いわゆるファーストチョイス(効果が期待できるので最初に試すべき薬)という考え方です。
 一方、専門家が漢方薬を選ぶ時、結果的に葛根湯を選択することはありますが、「風邪のファーストチョイスの漢方薬は葛根湯」と考えて選ぶことはありません。
 葛根湯は、風邪を引いていれば誰でも効果があるというわけではありません。初期で発熱・寒気があり、汗が自然に出ない、肩・首・背中などがこわばるような人で、胃腸が弱っていない人に向いている処方です。
 葛根湯のほかに風邪に利用する漢方薬となれば、桂枝湯(けいしとう)、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)、小青龍湯(しょうせいりゅうとう)など、製品化されている処方だけでも10種類以上あります。ひき初めなのか長引いているのかなども含め、その人のその時の状態によって選ぶ処方が決まります。
 一つの病気や症状に利用できる処方はいくつもあります。その中から昔からの経験で培われた各処方の上手な利用方法を参考に、一人一人の今の状態に適したものを選ぶのです。そのため、漢方薬にはファーストチョイスと言い切れる処方が存在しないのです。
 市販されている漢方薬でも選び方に注意すれば、より効果を出しやすくなるものです。