〝合方〟の漢方薬

 連日の暑さから水分を摂り過ぎて体調を崩しているという人も多いことでしょう。そこで今回は、合方(ごうほう)で作られた水分代謝を改善する漢方薬の話です。
 漢方薬は多くの場合、1種類を服用します。しかし、症状により2種類必要になる場合もあります。当然このような状況は古くからあったようで、複数の漢方薬を組み合わせて1つの漢方薬にして利用された薬もあります。これを合方といいますが、その一つ、合方によってできた「胃苓湯(いれいとう)」を紹介します。
 胃苓湯は、中国の医師、龔廷賢(きょう・ていけん)により1587年に著された「万病回春」に記載されています。平胃散(へいいさん)と五苓散(ごれいさん)の合方による漢方薬で、それぞれの処方名から1文字ずつ取って胃苓湯と名付けられました。
 平胃散は、暴飲暴食による膨満感や下痢のほか、食欲不振、胃に水がたまってポチャポチャ音がする胃内停水の症状などに利用されます。
 五苓散は体内の水分代謝がうまくいかない水毒による口渇、尿量の減少、吐き気、下痢、むくみなどに利用されます。
 胃苓湯は、それぞれの処方の特徴が合わさって胃の働きをよくし、水分代謝を改善する作用が強い処方です。そのため、食あたりなどの急性腸炎による下痢やおう吐によく利用されます。
 処方名の漢字から想像してみると面白いかもしれません。