漢方の古典の話

 漢方薬の使い方は、「古典」や、師匠から弟子へと伝える「口伝」などで継承されてきました。その中で効果のない薬は淘汰され、効果のある漢方薬が残り、現状では、その一部だけが使われています。
 古典というのは、漢方が世の中心であった時代の医師らが書き残した書物のこと。今の時代でも、漢方の專門家はさまざまな古典を活用しています。
 たくさんの古典がある中でも、はずせない古典といえば「傷寒論(しょうかんろん)」と「金匱要略(きんきようりゃく)」でしょう。
 この2冊の元になったのは、210年ごろに書かれた最古の処方集である「傷寒雑病論(しょうかんざつびょうろん)」です。「傷寒雑病論」は、書かれた後、長年の戦乱で散逸してしまったのですが、急性病に関する処方が集められ、「傷寒論」(113処方)としてまとめられました。また、それ以外の病気に関する処方をまとめたのが「金匱要略」(262処方)です。漢方を学ぶ古典の書としてどちらも最も重要なものです。
 ほかにも、「古今方彙(ここんほうい)」(1075処方)という江戸時代の処方集は、当時その人気から「京都の紙の価格が高騰した」と言われるほど数多く発刊され、全国の医師に読まれたそうです。
 漢方が盛んだったころの処方の数々と、漢方薬をよく効かせるためのヒントが詰まった古典。現代の我々が学ぶ重要な手がかりです。