クチナシの実も生薬の一つ

 今年も残すところ、あと少しとなりました。新年に向けておせち料理を作られる方も多いことでしょう。今回は、栗きんとんを作るときに使うクチナシの話。クチナシの花は白ですが、果実は熟すと黄色です。栗きんとんを作る際の色付けに使用され、サツマイモと一緒に煮ると鮮やかな黄色になります。
 名前の由来は、クチナシの果実は秋を過ぎても口を閉じたまま開かないから「口無し」になったという説があります。また、実の形が「巵(さかずき)」という底の丸い酒杯に似ているため「巵子(しし)」や「梔子(しし)」と呼ばれることもあります。
 このクチナシの実を乾燥させたものは、漢方薬の生薬(しょうやく)として昔からひんぱんに使われてきました。生薬名は、山梔子(さんしし)。熱を冷ます、炎症を抑えるなどの効能を持ちます。山梔子の入った漢方薬には、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)、加味逍遥散(かみしょうようさん)などがあります。黄連解毒湯は、顔が赤くのぼせる傾向のある人、イライラして落ち着かない人などに使われる処方。加味逍遥散は、冷え、のぼせ、疲れやすい人など、女性に使われることの多い処方。そのほか温清飲(うんせいいん)、茵陳蒿湯(いんちんこうとう)など、多くの漢方薬に配合されている生薬です。
 一般的には、クチナシの実は、タクワンなど食品の色付けのために使われてきました。布の染料としても使われたほど色素を含みます。山梔子の入った漢方薬を煎じると黄色っぽくなることがあるのもそのせいです。