原料の成熟度で効果が変わる!

 湿気が多くなるこの時期、胃や腸の調子を崩してしまう人が少なくありません。
 食欲不振や嘔気(おうき)などの症状がある人によく用いられる六君子湯(りっくんしとう)という漢方薬があります。六君子湯は、人參(にんじん)、白朮(びゃくじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、甘草(かんぞう)、陳皮(ちんぴ)、半夏(はんげ)の6種類の生薬に、生姜(しょうきょう)、大棗(たいそう) を加えた薬です。
 このうち、陳皮(ちんぴ)という生薬は、成熟したウンシュウミカンの皮を乾燥させたもので、古いほど良品とされています。陳皮は七味唐辛子にも含まれており、私たちの身近にある食材の一つでしょう。
 陳皮には、胃の調子を整える作用や痰(たん)を減らす作用、気の巡りをよくする作用などがあるとされており、多くの漢方薬に含まれます。
 一方、未成熟なウンシュウミカンの皮を乾燥させたものは青皮(せいひ)という別の生薬になります。青皮は陳皮よりも気の巡りをよくする作用が強いとされています。 
 青皮を構成生薬に含む漢方薬には、柴胡踈肝湯(さいこそかんとう)という漢方薬があります。この薬は、ストレスなどで気の巡りが悪くなり、イライラしたり胸や脇腹が張って痛みを感じる人によく用いられます。
 このように、同じ原料でも収穫の時期によって、生薬を使い分ける先人たちの知恵と経験には驚かされるばかりです。