江戸時代と現代の処方数の違い

 江戸時代と現代、漢方の処方数は、どちらが多いと思いますか。実は、江戸時代には、今よりもずっと多くの種類の漢方薬が使われていました。
 江戸時代を代表する処方集「古今方彙(ここんほうい)」の薬の数は、1075処方。しかし、現在の日本で使用される漢方製剤は、250処方程度に過ぎません。
 少し詳しく述べると、漢方製剤には、一般用漢方製剤(236処方)と、医療用漢方製剤(148処方)の2種類があり、両者は重複しています。
 重複分をよけて合計250処方程度です。しかも、消費の多くを占めているのは、医療用。多くの人が利用する漢方薬は、148処方から選んでいることになります。
 江戸時代に比べて、あまりにも少ない数の処方しか使われていないことが分かるでしょう。ちなみに、中国の古典を調べると、数万以上の処方があります。
 時代が下がるにつれて1000程度に落ち着いたのは、多くの処方が淘汰(とうた)され、よく使われるものと基本的なものが残されてきた結果でしょう。
 本来、漢方薬は一人一人の体質と症状に合わせて用いられるものですから、多様な状態に応じて選択できるよう、処方数は多い方がいいはずです。
 漢方本来の効果を発揮させるためには、利用できる処方数を増やすことが必要ですが、同時に、処方に関する多くの知識を持って漢方薬を応用することも大切です。