薬の日を手繰ってみると

  季節の変わり目である五節句の一つ「端午の節句」の5月5日は「こどもの日」ですが、実は「薬の日」でもあることはあまり知られていません。
 日本書紀に記された、「611年5月5日に推古天皇が菟田野(うだの)にて薬猟(くすりがり)を行った」との故事に由来し、1987年「薬の日」と制定されました。
 薬猟は、菟田野という地で男性が鹿の若角をとり、女性が薬草を採取することで、その後、毎年の恒例行事になったとされています。
 菟田野は、宇陀(うだ)の大野と考えられ、現在の奈良県宇陀市大宇陀の辺りだと思われます。その大宇陀では16世紀中頃、大和国吉野郡下市で葛(くず)粉の製造が始まり、現在では吉野葛の生産地として広く知られています。吉野葛は、葛粉100%のものを「吉野本葛」、それ以外のものを「吉野葛」と呼び、使い分けているそうです。
 宇陀市には江戸時代、50 軒以上の薬問屋が存在し、藤沢薬品(現アステラス製薬)の創業者の実家である旧細川家住宅を宇陀市歴史文化館「薬の館」として見学できます。
 また、1729年に開設された「森野旧薬園」も日本最古の私設薬草園として知られています。なるべく最小限の手入れにとどめ、自然な状態の約250種類の生薬を見ることができます。
 岡山からは少し遠いのですが、薬草だけでなく古い建物に興味がある方も一度訪れてみてはいかがでしょう。